Thursday, September 04, 2008

農地漂流

農地法で農地を所有できない開発業者らが農家に売買代金を払って所有権移転を仮登記している問題で、仮登記後も農家に課される固定資産税を業者らが負担する行為が横行していることが分かった。農林水産省は「法的には所有者は農家」と仮登記を規制していないが、事実上業者らの所有となっていることが裏付けられた。自治体の公社が税を負担している例もあり、地方税法に違反する可能性も指摘されている。専門家からは農地法の形骸(けいがい)化を危惧(きぐ)する声が出ている。【井上英介】

 千葉県の農家が80年代後半に不動産会社と交わした「土地(農地)売買契約書」によると、「土地に対する公租公課(税金や負担金)は乙(不動産会社)の負担とする」と明記されている。仮登記後は固定資産税を会社が負担する契約だ。この不動産会社の元社員は「農家数十人に毎年、税額分の現金を封筒に入れて配った。作業がわずらわしいので『一括で直接納めたい』と自治体に相談したが拒否された」と証言した。税の肩代わりは「どこでも行われていると思う」と話している。

 こうしたケースでは、農家側に贈与税がかかるが、額が少なく、申告する必要がない場合が多いとみられる。熊本県天草市では、合併前の旧本渡(ほんど)市と旧五和(いつわ)町が89年前後に仮登記した農地の固定資産税を、県と旧2市町が設立した天草下島北部地域観光振興公社が肩代わりしている。ゴルフ場誘致を目指して農地25ヘクタールを15億円で買収したが、97年に誘致は頓挫。農地は仮登記がついたまま雑木林となっている。

 天草市によると、農家約230人に課す固定資産税は年間約15万円。市は納税通知書を農家に送付せず、公社に総額を伝えて振り込ませている。総務省固定資産税課は「地方税法は市町村が納税通知書を納税義務者に届けるよう義務付けており、法に抵触する可能性がある」と指摘する。

 この指摘に対し、天草市固定資産税課は「通常の納付方法ではないが、旧2市町が用地取得の際に、地権者から『税が掛からないようにしてほしい』と要請され、取り決めたと聞いている。延々と引き継がれ、現段階で本来の方法に戻すのは困難」と釈明している。

 ◇売買自体が問題--梶井功・東京農工大名誉教授(農政学)の話
 転用が許可されるか分からないのに、農地を売買すること自体問題。農家に課される税金を業者が肩代わりすれば、業者が農地を所有しているに等しい。これを認めれば農地法は形骸化しかねない。

毎日新聞

なんとか良いようになればねぇ

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